ビジネスでは、物品購入や人材採用などの決定をするときに、稟議書が必要になるケースがあります。そこで、テンプレートを活用すると、一から構成を考える手間を削減し、スピーディーに稟議書を作成できます。
一方で、「どのテンプレートを選べば良いのか分からない」「テンプレートを活用しているが、稟議が通らない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、稟議書のテンプレートや通りやすい書き方、そのまま使える例文を中心にご紹介します。
- 稟議書の書き方や、通すためのコツを学びたい
- 稟議書のテンプレートや参考になる例文を探している
- 稟議書にかかる手間と時間を軽減する方法を教えてほしい
という方はこの記事を参考にすると、稟議をスムーズに作成するためのテンプレートが見つかるほか、稟議書の正しい書き方まで押さえられます。
目次
稟議書とは
はじめに、稟議書の定義や承認までの流れ、類似する用語との違いについて解説します。ビジネスでは、よく使われる用語になるため、正しく認識していくためにも目を通しましょう。
稟議書の定義
稟議書とは、自身の権限では意思決定できない事案について、上位関係者に回覧して承認を得るための書類を指します。そのとき、“稟議にかける、稟議に回す、稟議に上げる”などの言い回しがされています。
企業によって稟議書が必要になる事案は異なりますが「新規プロジェクトの立ち上げ」「大規模な資産の獲得」「予算・人材の確保」などで提出を求められるケースが多いです。つまり、企業に与える影響力が大きい場合に、稟議が必要となるのです。
稟議書の流れ
稟議の承認ルートは、扱う金額や契約内容などによって異なります。下図のように3つの承認ルートに使い分けられるため、事案に応じて承認ルートを設定しましょう。
<直線型ルート>
直線型の場合、直属の上司が承認者となり、承認が進むに連れて承認者の階級が高くなるのが特徴です。最もシンプルな承認ルートだと言えます。
<並列型ルート>
並列型は、複数の部署を跨ぐ事案を進めるときに利用されます。上図のように、承認者全員の承認が必要になる「AND承認」や、いずれかの承認者の承認を得れば良い「OR承認」が用いられるのが特徴です。
<条件分岐型ルート>
条件分岐型では、条件によって承認ルートが分岐されるのが特徴です。たとえば、申請する金額が10万円以下の場合は最終決裁者を”課長”、10万円以上の場合は、最終決裁者を”部長”に設定するケースがあります。
稟議書と類似する用語との違い
稟議書と類似する用語として「決裁・起案・提案」が挙げられますが、以下のような違いがあります。
- 決裁
- 起案
- 提案
申請された事案に対して、上位関係者が“承認”または“却下”の判断を下すことです。「稟議」では担当者が申請した書類を複数の関係者で回覧して承認する一方「決裁」では部下が申請した書類を、決定権を持つ上司が承認します。
正式な文書のもとになる案や文を作ったり、承認を得るために意思決定の内容を書類にまとめたりすることを指します。起案は「書類を作成する行為」であるのに対し、稟議は「承認を得るための手続き」を指しているのです。
議案や意見を提出することを指します。“稟議書”が物品購入・契約締結などについて承認を得ることを目的とするのに対して、“提案書”は、課題の改善策など、多様な意見を提案することを目的としています。
これらは、稟議を上げていくなかで耳にすることが多い用語です。「話し手が何を言いたいのか」を瞬時に理解するためにも、稟議との違いをしっかり押さえておきましょう。
稟議書を作成するメリット・デメリット
ここでは、稟議書を作成するメリット・デメリットを解説していきます。稟議書による決裁申請を考えている方は以下の内容を把握しておきましょう。
稟議書を作成する3つのメリット
稟議書を作成するメリットは、複数人からの確認による偏りのない決定が可能になる点や、会議を開くための人員と時間のコストを削減できる点が挙げられます。具体的には、以下の3点です。
- 意思決定の効率化
- プロジェクトの透明化
- 責任の所在の明確化
稟議書を作成すれば、会議を開くための人員や時間を省きつつ、提案内容を理解したうえで承認可否の判断を下せます。場合によっては、役員複数人の承認を得ないといけないため、多くの企業で意思決定の効率化に貢献します。
プロジェクト関係者全員と情報を擦り合わせたうえでの意思決定になるため、伝達や伝聞のミスによる認識の齟齬を減らし、現場の独断を防ぐ効果もあります。
提案者(申請者)による提案を、管理者(承認者)が承認するというフローに従うため、プロジェクトにおける責任の所在が明確化されます。
このように、効率的かつ適切な判断を下すために、社内稟議による決裁が多くの企業で取り入れられているのです。
稟議書を作成する2つのデメリット
一方で、稟議書を作成するデメリットとして、意思決定に時間がかかる点や、稟議書の紛失・改ざんのリスクがある点が挙げられます。
- 意思決定に時間がかかる
- 改ざんのリスクがある
稟議書を紙媒体で回覧する場合、複数の部署を経由するのに時間がかかります。また、テレワークを採用している企業では、ハンコを押すためだけに出勤しなければならず、意思決定までに時間を要することもあります。
稟議書は、多くの関係者を介するため、紛失したり内容が改ざんされる可能性が懸念されます。また、複数人の承認を通すため、一人ひとりの責任意識が希薄になりやすい点にも注意しなければなりません。
以上のようなデメリットを解消するには、承認フローの改善が効果的だと言えます。たとえば、作成した稟議書を任意のメンバーにのみ共有でき、編集履歴も残せる「ナレカン」のようなITツールが役立ちます。
【無料】稟議書のテンプレート・フォーマット・ひな形4選
ここでは、無料でダウンロードできる稟議書のテンプレート4種類をご紹介します。内容や形式を確認して、自社に合ったテンプレートを活用しましょう。
(1)例文付きの稟議書のひな型
こちらは、[文書]が提供する例文付きの稟議書のテンプレートです。こちらで提供されている稟議書のテンプレートの種類は以下の通りです。
- 備品などの物品購入・買い換え
- 出張・セミナー・研修会・講習会への参加
- 接待交際費の支出
- 正社員・アルバイト・パートの採用
- 新規取引先との契約開始
このように、用途ごとに多様なテンプレートが用意されているので、目的に合った稟議書を作成できます。
(2)物品購入にも使える稟議書のフォーマット
こちらは、物品購入にも使える稟議書のフォーマットです。
書式が異なる2種類のテンプレートが用意されています。一つ目は「決裁内容・起案理由・期待できる効果」を記入できるエクセルのテンプレート、二つ目は「件名・目的・数量・金額・効果」を記入できるWordのテンプレートとなっています。
(3)Wordで使える稟議書のテンプレート
こちらは、ビズ研が提供する、Wordで使える稟議書のテンプレートです。こちらでは、用途に合わせて使える、以下の専用テンプレートが提供されています。
- 購買・購入
- 新規取引先
- 人員募集
- 採用稟議
ほかにも、シンプルなレイアウトで構成された、4種類の基本テンプレートが用意されています。
(4)エクセルで使える稟議書のテンプレート
こちらは、エクセルで使える稟議書のテンプレートです。こちらでは、書式が異なる2種類のテンプレートが用意されています。
一つ目は「件名・内容・目的・添付書類・決裁日・決裁結果」を記入して、企画や人事などに活用できます。二つ目は「件名・購入品・購入理由・数量・必要経費・金額・発注先と理由・支払方法」などを記入して、物品購入に活用できます。
誰でも簡単に稟議書を電子化できるツール
以下では、誰でも簡単に稟議書を電子化できるツールをご紹介します。
稟議書の作成にテンプレートを活用すると、手間をかけずに体裁を整えられます。ただし、稟議書を紙で作成していると「承認までに時間がかかる」「紙代や印刷代などの金銭的なコストが発生する」恐れがあるので注意が必要です。
そこで、「簡単に稟議書を電子化できるITツール」を導入しましょう。とくに大企業では、稟議書の数が多いので、稟議書をスムーズに共有することで承認までの時間を短縮し、ストレスなく進められるようになります。
結論として、稟議書を電子化するには、テンプレートを使用して稟議書の作成から管理まで一元的に行える「ナレカン」一択です。
ナレカンの「記事」に、自社独自の稟議書のテンプレートを登録すれば、ワンクリックで呼び起こせるほか、任意の相手にすぐ共有できるのが特徴です。また、記事の「コメント」機能を活用すれば、意思疎通をとりながら、承認までスムーズに進められます。
稟議書の作成から承認までを円滑化するツール「ナレカン」
「ナレカン」|社内のナレッジに即アクセスできるツール
https://www.stock-app.info/narekan_document_request.html
「ナレカン」は、社内のナレッジに、即アクセスできるツールです。
「社内のあらゆる場所からナレッジが一元化」され、しかも、そのナレッジを「超高精度検索」できます。
自身の頭の中にあるナレッジを残すときは「記事」を作成でき、誰かにナレッジを尋ねたいときは、知恵袋のような感覚で「質問」することが可能です。また、ファイルを添付するだけで、AIが貴社のファイルの中身を全自動で、続々とナレッジ化していきます。
また、ナレカンを使えば、欲しい情報が即見つかります。
Google検索のように使える「キーワード検索」や生成AIを活用した「自然言語検索」によって、メンバーの検索スキルに依存することなく、誰でも簡単に情報を探し出せます。
更に、「初期導入支援サポート」と「ご利用中サポート」もあり、支援も充実しています。「すぐに使える状態にセットアップ」「月に1度のオンラインミーティング」など、実際に、社内のナレッジが動き出す仕組みを整えます。
<ナレカンをおすすめするポイント>
- 【ナレッジの一元化】 ナレッジ管理に特化した、これ以上なくシンプルなツール。
記事形式で書ける「社内版wiki機能」、質問形式で聞き出せる「社内版知恵袋」、メールやチャット内のやりとりは「転送機能」を使って、ナレッジを残していくだけなので、誰でも迷わず使えます。
- 【超高精度な検索機能】 誰もが簡単に欲しい情報を見つけられる検索性。
「複数キーワード検索」「添付ファイル内検索」「ゆらぎ検索」など、思い通りの検索が可能です。
- 【サポート】 圧倒的なクオリティの「初期導入支援」と「ご利用中」サポート。
初期導入支援だけでなく、ナレカンが定着するように、ご利用中も最大限サポートするので、貴社担当者様のお手を煩わせません。
<ナレカンの料金>
- ビジネスプラン:標準的な機能でナレカンを導入したい企業様
- エンタープライズプラン:管理・セキュリティを強化して導入したい企業様
- プレミアムプラン:「AI自然言語検索」も含めて導入したい企業様
各プランの詳細や金額は、下記「ナレカン資料の無料ダウンロード」ボタンより、資料をダウンロードしてご確認ください。
【例文あり】ナレカンでそのまま使える稟議書のフォーマット
以下では、ナレカンでそのまま使える稟議書のフォーマットと、ナレカンで稟議書のテンプレートを追加する方法をご紹介します。
令和6年4月16日
稟議書
営業部 ○○○○
件名:CRMツールの導入について
表題の件につき、ご検討いただきたくお願い申し上げます。
1.製品名称:△△(株式会社○○)
2.価格:¥○○,○○○
3.使用予定者:営業部○○チーム
4.購入時期:4月末まで
5.購入理由:営業部において、顧客情報を格納したファイルの管理が煩雑になっている。そのため、顧客管理に特化したシステムを導入することで、業務効率化を図りたい。
6:参考資料:△△サービス説明資料
以上
ナレカンでは、上記のような独自のフォーマットを、「テンプレート」として登録できます。はじめに、記事編集画面からテンプレート一覧を開いたら、[+新規作成]をクリックします。
次に、テンプレートとして設定したい内容を入力し、[保存]をクリックすれば、独自の新規テンプレートが追加できます。(ここでは、稟議書のテンプレートを作成しています)
テンプレートは、ワンクリックで以下のように呼び出されます。
このように、「ナレカン」では、自社独自のテンプレートを登録してワンクリックで呼び出せるので「社員によって体裁が違うので見づらい」といった問題を回避できます。
通りやすい稟議書の書き方とは
ここでは、稟議書の通りやすい書き方について解説します。通る稟議書を作成するための基本的な書き方を紹介しているので、担当者の方は必見です。
(1)抜け漏れがないか確認する
稟議書を書くときは、抜け漏れがないか確認しましょう。稟議書の基本的な項目は以下の通りです。
- 日付
- 起案者
- 題名
- 稟議の目的・理由・費用
また、稟議書の題名では「〇〇の購入について」「〇〇社との新規取引承認の件」というように、稟議の内容を端的に示しましょう。
(2)具体的なデータを示す
上手い稟議書を書くためには、具体的なデータを示すことが大切です。
具体的なデータを示すと、説得力が高まり、承認を得やすくなります。そこで、「発生するコスト」や「予想される利益」などを数値として示して、検討する事案について客観的に説明しましょう。
このように、具体的なデータを示して、費用対効果を明確にすることがポイントです。
(3)5W2Hを意識する
5W2Hを意識することも、上手い稟議書を書くための工夫です。
5W2Hとは、情報を論理的に整理・伝達するためのフレームワークです。具体的には「When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)」を5W、「How(どのように)、How Much(いくらで)」が2Hに当てはまります。
5W2Hを活用すれば、話を順序立てて説明して、ビジネスをスムーズに進められます。また、情報の抜け漏れを防いで、過不足なく円滑なコミュニケーションが可能です。
(4)締めの言葉に気を付ける
稟議書を書く際、内容ばかりを注視しがちですが、締めの言葉も重要です。稟議書では以下のような言葉がよく使用されます。
- 何卒よろしくお願いいたします
- ご検討のほどよろしくお願いします
- 承認をたまわりたくお願い申し上げます
良い締めくくりの言葉を書いて、承認を得る権限者に良い印象を残しましょう。
稟議書を通すためのコツ
ここでは、稟議書を通すためのコツを紹介します。見やすい稟議書を作成することはもちろんですが、説得力を持たせるためにも、押さえておきましょう。
承認者に事前に伝えておく
1つめのコツとして、承認者に事前に伝えておくことです。
稟議書を出したあとに、承認者の懸念事項や疑問点が解消されていなければ、稟議書は差し戻されてしまいます。繰り返し稟議書が通らなければ、手直しする時間がかかるだけでなく「プロジェクトは成功するのか」という不安も芽生えかねません。
そのため、事前に承認者とコミュニケーションを取ったうえで、稟議書を提出するのも有効な手だと言えるのです。
柔軟に改善していく
2つ目のコツとして、稟議書が差し戻しになったときには、柔軟に改善していくことが大切です。
稟議書の事案によっては、企業の今後の方針を左右することにもなるため、慎重に検討されます。そのため、承認ルートの途中で、却下されてしまうケースも少なくありません。
このとき、提案者は自身の提案を却下されたとしても、自身の意見に固執するのではなく、改善点をしっかり見つめましょう。却下された理由を把握し、柔軟に対応していくことで、より的確な稟議書が出来上がります。
稟議書の電子化は必須?電子すべき3つの理由
稟議書を適切に管理するには、電子化する点が重要です。ここでは、稟議書を電子化すべき3つの理由をご紹介します。
(1)政府による推奨のため
政府が提唱する”働き方改革”によって、電子化が推進されています。
たとえば、2022年1月1日に施行された「改正電子帳簿保存法」もその一環です。これは、電子データで受領した請求書を紙に出力して保存することを禁止した法令で、政府が電子化を推進しているのがよくわかります。
このように、昨今では政府主体で積極的に電子化が推し進められています。今後、多くの企業でデジタル化が進むことが予想されるため、まずは、稟議書の電子化から始めてみましょう。
(2)承認までを時短するため
稟議書を電子化すると、承認までスピーディーに進められます。
稟議書を紙で作成していると、承認者を順番に回していかなければなりません。しかし、承認者が不在だったり、他支店のメンバーだったりすると、承認を得るまでに時間がかかってしまうのです。
そこで、ITツールを導入して稟議書を電子化すれば、いつでもデータ上で確認できるので、スピーディーな意思決定が可能です。また、承認に関するやりとりや編集履歴が可視化されるので、承認の進捗状況をスムーズに確認できるメリットもあります。
たとえば、ナレッジ管理ツールの「ナレカン」では、テンプレートを使って稟議書を作成し、そのまま申請まで可能です。また、メッセージ機能で疑問点などをすぐに質問できるため、承認までの時間を大幅に短縮できます。
(3)コストを削減できるため
コストを削減できる点も、稟議書を電子化するメリットのひとつです。
紙で運用していると、稟議書を作成するときに紙代や印刷代がかかります。また、作成した稟議書を管理するスペースを確保しなければなりません。
そこで、稟議書を電子化すると「作成時の金銭的なコスト」や「場所代や管理作業などの管理コスト」を削減できます。
稟議書のテンプレートまとめ
これまで、稟議書のテンプレートを中心にご紹介しました。
稟議書を作成することで、複数人のチェックによる偏りのない決裁が可能になります。通りやすい稟議書を書くには「(1)抜け漏れがないか確認する」「(2)具体的なデータを示す」「(3)5W2Hを示す」「(4)締めの言葉に気を付ける」の4点です。
ただし、稟議書を紙で作成していると、承認までに時間がかかったり、稟議書の作成・管理に余計なコストがかかったりする恐れがあります。そこで、「すべての社員が簡単に稟議書を電子化できるツール」があると便利です。
したがって、稟議書を電子化するには、稟議書の作成から承認までを円滑化するナレッジ管理ツール「ナレカン」が最適です。
ぜひ「ナレカン」を導入して、全社で稟議書を電子化しましょう。