業務マニュアルがあると、電話対応や新人教育にかかるコストを削減し、結果として業務効率化が実現できます。
しかし、「マニュアルにどのような内容を書けばいいか分からない」「そもそもマニュアルの作り方が合っているか分からない」とお悩みの方もおいのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、業務マニュアルを作成するメリットから作り方、わかりやすいマニュアルにするためのポイントについて解説します。
- 業務フローが人によって違い、制作物やサービスの質に差が出て悩んでいる
- 業務マニュアルの作成方法がわからず、スピード感のある業務が現場でできていない
- 作成した業務マニュアルが活用されず困っている
という担当者の方は、今回の記事を参考にすると効率的かつ効果的に、業務効率化に役立つマニュアル作成が行えるようになります。
目次
業務マニュアルを作成するメリット
ここでは、業務マニュアルを作成するメリットについて解説しています。
業務マニュアルは業務効率化に役立つと言われていますが、どのような効果があるのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
作業クオリティの標準化
業務マニュアルを作ると、業務フローが統一され、いつ誰が作業しても同じクオリティで作業できるようになります。
マニュアルがない業務オペレーションでは、しばしば「作業者によって成果の質や量が異なる」といった問題が起こります。常に一定の品質ではなく作業によってバラつきがあると、顧客満足度の向上には繋がらず、結果として企業はファンを獲得しにくくなります。
業務マニュアルを作成し、作業全体における基準を設けると、製品やサービスのクオリティが標準化できます。さらに、明確な基準が設定されることから業務品質の底上げにも繋がるのです。
時間・コストの削減
業務マニュアルによって作業の手順が統一されると、無駄な作業が減って作業時間が短縮できます。
業務マニュアルがない場合、新しい業務を行うには、その業務の経験者に作業手順を教えてもらう必要があります。また、1度聞いただけでは理解できなかったり、実際作業を行う際に分からなくなったりすれば、再度経験者に手順を確認しなければなりません。
こうした教え方で作業を進めていくと教育時間にかかるコストが増えるどころか、教える側と教えられる側のストレスも増えてしまいます。
業務マニュアルを利用すれば手順はすべてマニュアル内にあるため、不明点があれば一度マニュアルに立ち返り、作業を進められるようになります。
また、作業の引き継ぎの際も、事前にマニュアルを読んでおけば大枠の手順は把握できるため、確認したうえで分からないことだけを教えれば済み、結果として教育時間のコストも削減可能です。
作業に関する知識の属人化を防ぐ
業務マニュアルを作成すると、作業に関する知識の属人化を防げます。
知識の属人化とは、特定のひとしか知らない知識がある状態を指します。企業において作業知識の属人化が進んでしまうと、担当者が不在の場合や異動となった場合に、該当の作業が行えない・普段と同じ成果が出せないという状況に陥ってしまいます。
こうした状況は、場合によっては企業の信用や経済活動に大きな影響を与えかねません。
業務マニュアルによって作業が標準化されていれば、誰でもマニュアルを参考にして作業できるようになります。その結果、円滑な企業活動が続けられます。
業務マニュアルを作るステップ
ここでは、業務マニュアルを作成するための手順について解説します。
業務マニュアルを作成には大きくわけて3つの段階と、8つのステップがあります。作成前はステップ1〜2、作成はステップ3〜5、作成後はステップ6〜8です。
手順をひとつずつ追って、マニュアル作成に取り掛かりましょう。
ステップ1. スケジュールを決定する
はじめに、マニュアル作成のスケジュールを決定しましょう。
マニュアル作成は日々の業務とは異なるため、あらかじめスケジュールを立てていないと作業が後回しになってしまう可能性があるからです。
マニュアルの使用開始日や、必要な作業時間、問題が発生する可能性まで考慮して完成までのスケジュールを決めましょう。このとき、あわせてマニュアル作成に必要な工数や人員数も見積もっておくと、より効率的にマニュアル作成を進められます。
ステップ2. 範囲を決める
スケジュールが決まったら、次はマニュアルの適用範囲を決めます。
マニュアルの適用範囲とは、「何を目的に」「どんな業務を」「どんな基準で」「どこまでカバーするか」といった範囲を指します。具体的な利用場面を想像しながら、利用用途や目的を明確化させていきましょう。
適用範囲を決めずに作成に取り掛かると、マニュアルに記入する内容が多くなっていまい、作成時に多くの時間を割く必要がでてきます。また、文字量の多いマニュアルは読みづらいので、活用されづらくなる恐れもあります。
導入後の活用を促すためにも、業務の範囲を広げすぎずに必要な情報だけが記載されたマニュアルを作りましょう。
ステップ3. 目次(構成案)を考える
適用範囲を決めたら次は、目次を考えます。
目次を考えずに内容から書き始めると、マニュアルに関係のない事柄まで書いてしまう危険性があります。また、特定の内容ばかり詳細に書きすぎて、一部が抜け落ちてしまう可能性もあります。
全ての業務範囲をカバーするためにも、内容に取り掛かる前に大枠の構成は考えておきましょう。
目次の書き方は、まずは大きな目次から作成します。たとえば、電話応対マニュアルであれば、「電話を受ける際の手順」や「電話をかける際の手順」などが大きな目次にあたります。
次に、1つの大きな目次に対して、小項目を適宜追加していきます。「電話を受ける際の手順」であれば「名乗る」「相手を確認する」「取り次ぐ」などがこの小項目に当たります。これを繰り返して、目次をすべて構成しましょう。
なお、この時点では、あくまでも必要なのはマニュアルの大枠だけなので、あまりにも内容を詳細に書きすぎないよう注意します。
ステップ4. 時系列順に詳細な内容を書いていく
小項目まで決まったら、いよいよ詳細な内容を書きだしていきます。
業務マニュアルは実際の作業の流れに沿ってあると理解しやすいため、作業は時系列順に並び替えます。また、担当者が複数人いる場合は、作業が混同しないように、作業者別に分類すると分かりやすくなります。
書く際は必ずマニュアルの読み手を想定して、専門用語など難しい言葉は使わず誰でも分かりやすいマニュアルを心がけましょう。
ステップ5. 図表を入れて分かりやすくする
文字だけで伝わりにくい部分があれば、適宜画像や図表を入れて視認性を上げます。流れが複雑な作業があれば、実際の作業手順を動画として挿入するのも見やすくなるのでおすすめです。
無理に文字のみや画像のみで伝えようとするのではなく、読み手に最も伝わりやすい方法を考慮して臨機応変に対応しましょう。
ステップ6. 仮運用
マニュアルが完成したらすぐに配布せずに、一度仮運用を行いましょう。
一見完璧に思えるマニュアルであっても、見落としてる部分がある場合も考えられます。まずは作成したマニュアルを元に作業を行ってみましょう。
マニュアルを利用して2、3回作業をしてみると、何かしらの改善点や不具合が出てくるはずです。運用中には、できる限り改善点を出し、マニュアルをアップデートしていきましょう。
また、このとき、作業をまったく行ったことのない社員からもフィードバックを得ておきましょう。「マニュアルを見ただけで誰でも同じ品質の作業ができるかどうか」を基準とすれば、よりマニュアルの精度が上げられます。
ステップ7. 配布
仮運用を通して見えた改善点をブラッシュアップし、完成版ができたらマニュアルが必要な現場・社員へ配布します。
業務マニュアルを配布する際には、社内の情報共有ツール等を使うのがベストです。紙にプリントアウトしたマニュアルでは、紛失の可能性もある上に、印刷の手間がかかるためです。
現場からの改善点があった際に簡単に修正できるように、事前にマニュアル管理を行うツールを定めることをおすすめします。
ステップ8. 改善・更新
マニュアル作成は、完成して終わりではなく、そこから何度も更新し常に最新版に保つ必要があります。
古い情報が記載されたままのマニュアルでは、作業がまた属人化してしまううえ、最終的に利用されなくなってしまいます。どんな状況にあっても対応できるよう、マニュアルにはその作業の最新情報を記入しておきましょう。
また、利用する社員からのフィードバックも適宜受けておきましょう。こうした「現場からのフィードバック→更新→公開」というサイクルを何度も回すと、より良いマニュアルへと近づきます。
関連記事: 本当に使える正しい業務マニュアルの作成方法
使いやすい業務マニュアルにするための4つのポイント
マニュアルはただ作るだけでなく、ポイントを押さえるだけでより活用されやすくなります。ここでは使いやすい業務マニュアルにするための4つのポイントをご紹介します。
仕事の全体像が俯瞰できる
活用されやすいマニュアルにするための1つ目のポイントは、仕事の全体像が俯瞰できることです。
仕事の全体像とは「その作業を行う意味」「作業全体の流れ」「作業工程」「求められる水準」を指します。
仕事の全体像が把握できていなければ、効率的に作業が進められなくなってしまいます。その仕事に慣れている社員はまだしも、新入社員の場合なかなか自分の力でこの全体像を把握するのは難しいです。
そのため、業務マニュアルには全体像を記載するようにしましょう。仕事を意味を理解して進めていくことで、不安なく前向きに作業に取り組めるようになります。
また、業務フローがわかるフローチャートを作成し、マニュアルへ反映させるのもおすすめです。
判断基準が示されている
業務マニュアルには、作業における判断基準を記載しておきましょう。仕事における判断基準がマニュアル内に記載されていれば、その業務に慣れていない社員でも迷わずに判断できます。
作業時における事象についてマニュアル内に判断基準が載っていないと、読み手は自分で行う判断に不安を覚えてしまい、次の行動に移るのを躊躇してしまいます。こうした状況では、作業の一時的な中断にも繋がりかねません。
マニュアルだけで読み手が正しく行動できるよう、「作業結果がAであれば、次の手順に進む」など具体的な判断基準を記載しておきましょう。
到達目標を行動レベルまで明確にする
マニュアルでは、到達目標を行動レベルまで分解して明確にしましょう。数値や行動レベルで到達目標を示すと、仕事の質を高いレベルで一定に保てるようになります。
漠然とした目標だけがあっても、そこに向かう道筋がなければ、どう行動していいのかわかりません。何をすれば正解なのかを明確化しましょう。
クレームやトラブルを見える化する
クレームやトラブルに関するマニュアルは、事例を記載して、分かりやすく見える化しましょう。事例があることで対応したことのない社員でも、状況をイメージしやすくなるからです。
可能であれば、直近で表面化したクレームやトラブルなどのヒヤリハットも含めて記載しましょう。
その際、「なぜ起きたのか」「どのように対応したのか」「その結果どうなったのか」まで細かく見える化すれば、同様のトラブルが発生した場合も的確な対応が行えます。
業務マニュアル作成の注意点
ここでは、業務マニュアルを作成する際の注意点について解説します。マニュアルを作成する際には、どのような点に注意が必要なのでしょうか。ひとつずつ見ていきましょう。
チェックリストが適している場合もある
マニュアル作成に取り掛かるまえに、まずは本当に現状必要なのがマニュアルなのかどうかを確認します。
作業手順の確認方法には、マニュアルのほかにチェックリストがあります。チェックリストは、業務マニュアルの一種で、特定のタイミングで使われるチェック一覧です。
チェックリストでは確認が必要なポイントが一覧となっているため、わざわざマニュアルを作らなくてもチェックリストで代用できる業務もなかには存在します。
そのため、マニュアルを作る前に、「本当にマニュアルが必要なのか」「チェックリストでは代用できないか」を考えたうえで、作成していきましょう。
シンプルにする
業務マニュアルはなるべくシンプルに構成します。
業務マニュアルを作成していると、「もっと詳細に書きたい」「もっと見やすくしたい」とこだわりが出てくる場合があります。
しかし、業務マニュアルはの目的は、あくまでも作業の手順を分かりやすく伝えることにあります。とにかくシンプルであり、内容が理解しやすいものでなければ、マニュアルとして役には立ちません。
作成者の自己満足とならないように「シンプルで分かりやすいマニュアル」を心がけて作成しましょう。
業務マニュアルの作成に役立つテンプレート
業務マニュアルはテンプレートを利用すると効率的に作成できます。ここでは、業務マニュアルの作成に役立つテンプレートサイトをご紹介します。
それぞれ作成できる形式が異なるため、作成ツールに合わせて選択しましょう。
SILAND

SILAND.JPではWordで簡単にできるテンプレートをダウンロードできます。
操作マニュアルや運用マニュアルに適しているテンプレートで、特別なソフトをいれなくても、ダウンロードしたファイルを解凍するだけで使えます。
多くの色を使うことはできませんが、シンプルで分かりやすい作りとなっています。
bizocean

bizoceanでは、Word・PowerPoint・Excel形式の業務マニュアル作成に使えるテンプレートが豊富にあります。
それぞれの形式から、作りたいマニュアルに合わせてダウンロードできるのが魅力です。種類が豊富なので、テンプレートを探しながらマニュアルのイメージを膨らませられます。
Microsoft

Word・PowerPoint・Excelを開発したMicrosoftが無料で提供しているテンプレートです。
マニュアル作成専用のテンプレートではありませんが、デザイン性が高いテンプレートが用意されており、作りたいイメージがある程度決まっている場合に活用できます。
マニュアルの作成から管理までが一元化できるツール
ここでは、マニュアル作成から管理までを一元化できるおすすめのツールをご紹介します。
マニュアルを作成する手段はさまざまですが、ITツールを利用すると作成から管理までが一元化でき、効率的に業務を進められます。しかし、マニュアルは長期的に保管・活用するものであり、会社の情報資産になるものです。そのため、どのツールで管理するかが一番のポイントとなります。
また、マニュアルは社内の機密情報となるので万が一の流出を避けるためにも、高度なセキュリティ対策が立てられているツールでマニュアルを管理しましょう。
今回ご紹介する「Stock」は、大手セキュリティ会社も登録している国際セキュリティ資格を有する情報共有ツールです。
Stock内に保管されたデータには常に万全なセキュリティ対策が練られており、SSO(シングルサインオン)やIPアドレス制限などを利用すれば、より強固にマニュアルデータを保護できます。
チームの情報を最も簡単に残せるツール「Stock」

「Stock」|チームの情報を最も簡単に残せるツール
Stockは、チームの情報を最も簡単に残せるツールです。「チャットツールだと情報が流れていき、ファイル共有だと面倒」という問題を解消します。
Stockを使えば、「ノート機能」を利用して、要件などのテキスト情報や、画像やファイルなどのあらゆる情報を誰でも簡単に残せます。
また、「タスク」や「メッセージ」の機能を利用すると、ノートに記載したテーマごとにコミュニケーションを取ることができるため、あちこちに情報が分散せず、常に整理された状態で業務を遂行できます。
<Stockをおすすめするポイント>
- ITに詳しくないチーム向けのツールITの専門知識がなくても問題なく、簡単に始められます。
- とにかくシンプルで、誰でも使える余計な機能は一切なくシンプルなツールなので、誰でも簡単に情報を残せます。
- 驚くほど簡単に「情報ストック」と「タスク管理」ができる社内の共有情報等の「情報ストック」が驚くほどしやすく、さらに直感的な「タスク管理」も可能です。
<Stockの口コミ・評判>
![]() 池本 健太郎さん きずな綜合会計事務所 |
「会計事務所内の『情報ストック』と『タスク管理』が、すべてStock上で完結しています」 ★★★★★ 5.0 少なくとも会計事務所であれば、どこの事務所であっても大幅に業務効率を改善できると思います。しかし会計事務所に限らず、フォルダ階層形式でサクサクと情報共有したり、または簡単にタスク管理したいチームであれば、どこにも強くオススメできます。 |
![]() 塩出 祐貴さん 松山ヤクルト販売株式会社 |
「強烈な『ITアレルギー』があるチームでも、Stockならば、一切混乱なく導入できました」 ★★★★★ 5.0 弊社の宅配部門のスタッフの半分近くは50代以上と高齢で、キーボード入力が苦手なスタッフもいるほど、ITツールへの強い抵抗感がありました。しかし、Stockは他ツールに比べて圧倒的にシンプルで、直感的に使えるため、予想通り非常にスムーズに使い始めることができました。 |
![]() 西尾 太初さん 株式会社ハピネス |
「LINEだと情報が流れていってしまう問題が、一気に解消されました!」 ★★★★★ 5.0 従来使っていた『LINE』だと、情報が流れていってしまうので、後から過去の『営業の打ち合わせ記録』を振り返ることはできませんでした。しかし、Stock(ストック)を導入した後は、すべての『営業の打ち合わせ記録』が『ノート単位』で整然と管理されており、過去の営業記録にも即座にアクセスできます。過去に『いつ・誰と・何を』話したかが明確に分かるようになったので、2回目、3回目の営業戦略を立てられるようになりました。 |
<Stockの料金>

https://www.stock-app.info/pricing.html
登録から30日間は、全ての機能を無料で試すことができます。
また、トライアル期間終了後も、累計20ノートまでは永年無料で利用できます。
無料トライアル終了後に有料プランに申し込むことで、そのままノートを制限なく作成できる他、「誤削除防止機能」や「編集履歴機能」などのビジネスに必須の機能も継続して利用できます。そして、大容量のファイルも引き続きアップロード可能です。
有料プランでも1人あたり月額300〜400円程度からという非常に手頃な価格で利用できます。
業務マニュアルの作り方まとめ
ここまで、業務マニュアルの作り方と、作成するメリット、作成のポイントなどについて解説しました。
マニュアル作成において大切なのは、読み手に配慮し分かりやすいマニュアルを作成することです。分かりやすいマニュアルを効率的に作成するためにも、マニュアルはテンプレートやフォーマットを利用して常に同じ水準のものを作成しましょう。
今回ご紹介したStockは、テンプレート機能も利用できる情報共有ツールです。
保存できるテンプレート数には制限がないため、マニュアルの分類ごとに異なるフォーマットを登録して利用できます。さらに、ノートに紐づくメッセージを利用すれば、マニュアルに関連する質問や更新の連絡などもStock内ですべて完結できます。
利用・登録は無料からできるので、ぜひ「Stock」を利用してマニュアル管理の効率化を実現しましょう。

1986年生まれ。早稲田大学法学部卒。
新卒で、野村総合研究所(NRI)に、経営コンサルタントとして入社。
その後、株式会社リンクライブ(現:株式会社Stock)を設立。代表取締役に就任。
2018年、「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」ことをミッションに、チームの情報を最も簡単に残せるツール「Stock」を正式ローンチ。
2020年、ベンチャーキャピタル(VC)から、総額1億円の資金調達を実施。
2021年、東洋経済「すごいベンチャー100」に選出。