業務に潜む「非効率な作業」を改善して生産性を高めることは、業界業種を問わず求められます。そこで、現場で働く社員が「実体験の気づき」から改善点を見つけ出し、改善を訴えかける手段として、「業務改善提案書」の作成が挙げられます。
しかし、「早急に課題解決すべきだ」と経営陣に認識させるような業務改善提案書を、うまく作成できずに悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、採用される業務改善提案書の書き方を中心に解説します。
- 基本的な業務改善提案書の作成手順がわからない
- 業務改善提案書の例文や参考に出来るネタを知りたい
- 自社で業務改善を円滑に進める体制を整えたい
という方は今回の記事を参考にすると、採用される業務改善提案書の書き方が理解でき、職場環境の改善につなげられます。
目次
業務改善提案書とは
業務改善提案書とは、社内の特定の業務における改善点に対して、具体的な改善提案をおこなうための文書です。
業務改善提案書は、職種や業界問わずさまざまな場面で活用されます。また、現場の状況を把握している社員から、管理職向けに「ボトムアップ」の形式で発案されるケースが多くみられます。
したがって、業務改善提案書の作成は「業務改善の必要性を経営陣や上層部に共有して、課題解決に向けての意思決定を取り付けること」が最終目標となるのです。
そのため、提案書を作成するときは、現場から離れている管理職が読んでもすぐに理解できるように、ポイントを押さえて作成しましょう。
業務改善提案書に必要な項目
実際に業務改善提案書を書く際に、必要な項目は以下になります。
- 全体概要
- 現状の問題点・原因
「分析した現状の課題」を定量的に記載します。
- 業務改善のアプローチ・解決策
課題に対しての具体的なアプローチ方法をまとめます。
- 予想されるメリット・効果
「課題解決すると企業にどのようなメリットがあるか」という視点で記載します。
- 必要な経費・時間・実施スケジュール
どのようなリソースが必要なのかを数値を使って明確にしましょう。
- リスク
想定されるリスクも記入することで、提案に対する解像度が向上します。
提案書の概要と要点を短くまとめます。
提案書を作る際は、以上の項目に沿って情報を整理しましょう。「必要に応じて箇条書きを使う」「結論から書く」ことを意識すると、さらに読みやすい提案書を作れます。
【4ステップ】業務善提案書の基本的な作成手順
以下では、業務改善提案書の作成フローを「4ステップ」で解説します。「採用される提案書の作り方」をステップごとに解説しているので、手順通りに作成しましょう。
ステップ1. 課題を可視化する
まずは、業務に潜む課題を明確にすることから始めましょう。
改善点発見の指標として「3M」が挙げられます。3Mとは「ムリ・ムダ・ムラ」の頭文字の総称であり、業務に潜む3Mを改善することで業務効率の向上が見込めます。そこで、3Mを見つけ出すために業務内容を洗い出して課題を可視化しましょう。
とくに、3Mは「属人化・リソース不足・形骸化」している業務に潜みやすいので、このような業務から中心に業務を見直すと、課題点を明確にできます。
ステップ2. 原因から現実的な解決策を立案する
次に「現場からのヒアリング」や「業務の見直し」で発見した課題の原因を特定して、具体的な解決策を作成します。
原因を正しく特定しなければ、解決策を実施しても課題解決につながりません。たとえば、「残業が多い」という課題の原因を掘り下げると「タスク管理ができていない」「適材適所に仕事を割り振れていない」など様々な可能性が考えられます。
また、解決策は現実的で実行可能なものであることが必須条件です。たとえば、「残業が多い」という課題に対して、いきなり「週三日ノー残業デーにする」といった施策を提案しても実現は難しいと言えます。
以上のように、解決策を考える前に、課題を細分化して正しい原因を特定することが、有効で現実的な解決策を考案するためのポイントとなるのです。
ステップ3. コストや期間を検討する
解決策を考案したら「コストや期間」など定量的な要素から解決策の実現可否を検討しましょう。
提出された業務改善提案を実現するために、企業は人材や費用のリソースを割かなければなりません。そのため、「コスト」や「期間」の項目は厳しく確認されるので、提案前の十分な検討が必須です。
また、検討したスケジュールには「期間ごとの中間目標」を記載するのもポイントとなります。「いつまでに、なにができる」という具体的なイメージが持てるので説得力が増すのです。
ステップ4. 提案書にする
最後に3ステップで確認した要素を踏まえながら、項目を整理して提案書にまとめます。
提案書にまとめるときは、可能なかぎり簡潔に記載して、1~2ページに収めることを意識しましょう。冗長な文章では、内容が頭にインプットされづらかったり、何が言いたいのか伝わらなかったりするからです。
そこで、文章を書くときは「一段落2文まで」「ひら仮名3割・漢字7割」を意識して書くと、読みやすい文章になります。以上のように、段階を踏んで検討した内容を整理して、簡潔かつ説得力のある提案書にまとめることが大切です。
採用される業務改善提案書の書き方のコツ
以下では、採用される業務改善提案書の書き方を紹介します。以下のコツを押さえると誰が見てもわかる提案書になるだけではなく、ほかの資料作成にも応用できます。
(1)FPSEに当てはめる
1つ目のコツとして、「FPSE」の構成に当てはめて作成するのが効果的です。
「FPSE」とは、 Fact(事実) Problem(課題) Solution(解決策) Effect(効果) の4つの要素を取り入れた構成です。 とくに、Factを起点に問題を提起していくため「客観的な見方」が求められる、業務改善提案書を作成するのに最適だと言えます。
以上のような論理的な構造を起用すれば、提案書を作成する手間を省きつつ、要点を押さえた提案書の作成が見込めるのです。
(2)客観的に分かりやすく記載する
2つ目のコツは、客観的で分かりやすい記載がしてあることです。
採用されやすい提案書の多くは、課題と改善点が明確で分かりやすく、第三者視点で客観的に記載されています。つまり、採用される提案とは、早急な業務改善の必要性が伝わる提案なのです。
また、提案内容が正確に伝わるよう、「結論ファースト」「箇条書きを使って情報を構造化する」など、文章の書き方のテクニックを取り入れることもポイントです。
(3)目的と期限を定量的に記載する
3つ目のコツは、上司に作成者の意図を正しく伝えるために、「目的と期限を定量的に記載すること」です。
業務改善提案書を確認する上司にとって、改善を行う「目的と期限」は重要な項目です。なぜなら、目的や期限が不明瞭な業務改善提案書では、改善策が途中で頓挫したり、完了目処の立たないプロジェクトになったりするからです。
そのため、記載した提案内容に「5W1H」「数字」の漏れがないか確認してみましょう。5W1Hで文章に具体性を持たせ、期限やスケジュールをもれなく記載すれば、説得力のある提案書が作成できます。
(4)テンプレートを活用する
4つ目のコツは、質の高い業務改善提案書を短時間で作成するために「テンプレートを活用すること」です。
提案書の作成は日々の通常業務と並行して行われるため、多くのリソースは割けません。さらに、書類の構成から考えさせようとすると社員が面倒に感じるうえ、体裁にバラツキがでて管理しづらくなってしまいます。
そこで、一度提案書の型が定まったら、社内で書式を統一するためにテンプレートとして活用し、作成する負担を軽減しましょう。ただし、ExcelやWordなどで提案書を作成すると、提案書が増えるに連れて管理が煩雑になってしまうので、避けるべきです。
一方、ExcelやWordよりも直感的に提案書を書き残すことができ、階層を分けてフォルダ管理できる「ナレカン」
のようなITツールであれば、提案書の作成・管理も一元化できるのでおすすめです。
【無料】業務改善提案書のテンプレート
以下では、無料で使える業務改善提案書のテンプレートをご紹介します。テンプレートを使用すれば、提案書を作成する時間を大幅に短縮できるため必見です。
シンプルな業務改善提案書のテンプレート
こちらは、[文書]テンプレートの無料ダウンロードが提供する業務改善提案書のテンプレートです。
不要なデザインが加えられてない、シンプルで実用本位のフォーマットです。第三者が見た場合でも、一見して分かるようなデザインが特徴です。
Excelで使える業務改善提案書のテンプレート
こちらのテンプレートは、業務用テンプレートが提供する業務改善提案書のテンプレートです。
Excel形式で使用できる点が大きな特徴です。また、10項目のシンプルなフォーマットとなっており、誰でも簡単に業務改善提案書を作成できます。
業務改善提案書の共有・管理に役立つツール
以下では、業務改善に役立ち、提案書管理のストレスも取り除くITツールを紹介します。
業務改善提案書は、書き方のコツさえ押さえれば、時間をかけることなく作成できます。しかし、提案書をExcelやWordを使って作成すると、上司に提出するのに手間がかかったり、ファイルが入り乱れたりして管理が面倒です。
業務改善提案書を作っても、確認しづらい体制では、社内全体の業務改善がはかどらない事態になりかねません。そこで、以上のような事象を回避するためにも、まずは「提案書の作成・管理・共有を一元化できる仕組み」を整えることが重要なのです。
結論、自社が導入すべきなのは、提案書の作成から共有まで、簡単に一元化できるツール「ナレカン」一択です。
ナレカンの「記事」には、テキストやファイル添付で簡単に業務改善提案書を作成できます。さらに、ファイル内の情報まで探し出せる「検索機能」で必要な情報をすぐに見つけられるので、ほかのファイルを管理していても簡単に業務改善提案書を探し出せます。
全社で業務改善提案書を運用するITツール「ナレカン」
「ナレカン」|社内のナレッジに即アクセスできるツール
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業務改善提案シートの例文
以下は、業務改善提案書の例文です。各項目のまとめ方を確認しましょう。
業務改善提案書
1)全体概要
○○部で週に1回おこなっている、在庫調査についての改善提案です。こちらの業務を以下の通り改善することで、○○部全体で2時間/週の残業時間削減を見込めます。
2)現状の問題点・原因
A. 問題点
毎週金曜夜におこなっている在庫調査が業務時間内に終了せず、2時間/週の残業を生んでいる。
B. 原因
a. 1週間分の調査をまとめておこなっているので、在庫が合わなかった際の調査に時間を要している。
b. 手書きの台帳に記入しているため、記載や修正に時間がかかっている。
3)業務改善のアプローチ・解決策
A. 毎日、17時~17時30分に在庫調査をおこなう。
→現在、毎日17時~17時30分におこなっている△△業務には3人必要だが、今後は他部署から応援を1人要請して、浮いた1人が上記の対応をする。
B. Stockの「ノート」に台帳のテンプレートを作ったので、今後はそちらに記載する。
4)予想されるメリット·効果
- ○○部全体で2時間/週の残業時間削減を削減できる。
- 在庫調査を勤務時間内に収められるようになるため、以下の人件費を削減できる。
- 時間外手当○○円×2h/週
5)実施スケジュール
- 11/1(水) 部長へ応援依頼提出
- 11/6(月) マニュアル完成
- 11/7(火)~11/10(金) 說明 · 教育
- 11/13 (月) 運用開始
6)リスク
繁忙期は在庫数が1.5倍になるため、1人/日では足りなくなる可能性がある。
以上の例文をコピペして使うと、ExcelやWord、PowerPointで簡単に業務改善提案書を作れます。
ただし、ファイル形式で提案書を作成すると「どこに保存したか分からなくなる」などの問題が起こります。そのため、「ナレカン」のように、「提案内容を記載したファイルを、フォルダごとに分かりやすく整理できるツール」を使いましょう。
どんな内容を書けば良い?改善提案のネタの例
個人目標などで「半期に1つ以上の改善提案をしなければならないが、改善点を見つけられない」と悩む場合、たとえば以下4つの「ネタの例」が役立ちます。
- 無駄の削減
- 手順の簡略化
- マニュアル整備
- 活性化・奨励
「慣例としておこなっているだけの業務」「無駄な会議」などを削減するための提案です。
「メールでの確認をやめる」「申請を自動化する」など、業務の手順を簡略化するための提案です。
俗人化しているノウハウを社内や部署内で横展開するための、マニュアル整備の提案です。
「形骸化している業務効率化ツールの使用を活発化させる」「有給消化率を増やす」などが挙げられます。
このような切り口から、改善提案のネタを見つけることができます。「業務をしていて無駄だと感じたこと」や、「人を巻き込んでもっと活発化したいと思ったこと」は提案のために書き留めておきましょう。
業務改善提案書の作り方とポイントまとめ
ここまで業務改善提案書の作り方とポイントを中心に紹介しました。
業務改善提案書を作成しやすい環境が整備されると、社員各々が日々の業務で得た「気づき」が「業務改善」につながり、業務効率が向上していきます。また、質の高い業務改善提案書を短時間で作るには、「テンプレート」の利用が欠かせません。
また、共有された多くの業務改善提案書の中から、必要な情報を探しだすのには時間と手間がかかります。そこで、検索機能を使って、業務改善提案書の中から目的の情報をすぐに見つけられるツールを選びましょう。
結論、自社が選ぶべきなのは、テンプレート機能で簡単に業務提案書の作成ができ、検索機能で目的の情報を即座に見つけ出せる『ナレカン』一択です。
ぜひ「ナレカン」を使って、質の高い業務改善提案書を作成・管理しましょう。