企業が業務効率と生産性を向上させるには、社員が個人的に蓄積した「暗黙知」を文章や画像などの「形式知」に変換させ、共有しなければなりません。
知識豊富な社員が持つノウハウを、他の社員が身につけられる形式知にして社内で共有し活用すれば、業務負担の削減や円滑なナレッジマネジメントが可能です。しかし、「暗黙知を形式知に変えるプロセスが分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、形式知の概要や暗黙知を形式知に変えるステップ、注意点を中心にご紹介します。
- 形式知とは何かや重要な理由が社内に説明できない
- 社員のノウハウを形式知化する方法が知りたい
- 形式知の共有がしやすくなるように社内環境を整えたい
という方はこの記事を参考にすると、自社の社員が持つノウハウの共有方法や業務品質の底上げが実現できます。
目次
形式知とは?
形式知とは、文章や数式、図表などで見える化された他者に説明できる知識のことです。形式知は「客観的に捉えられる」「論理的構造で説明できる」特徴があります。
以下では、「形式知」と「暗黙知・実践知」の違いを解説します。
形式知と暗黙知の違い
形式知と暗黙知の違いは、「言語化されているか」にあります。
形式知は、文章などで「見える化」された知識を指す一方、暗黙知は個人的な経験や感覚に基づいており、他者に説明できない知識のことです。「主観的にしか捉えられない」「言語化が困難」という特徴があります。
このように、形式知と暗黙知は正反対の意味を持つ概念です。今日では形式知と暗黙知の概念が、広くビジネス社会で認知されるようになり、ナレッジマネジメントを進めるうえで不可欠な要素になっています。
形式知と暗黙知の具体例
形式知の具体例としては「業務フロー」や「作業マニュアル」などが挙げられます。
たとえば、特定の作業をはじめて行う従業員であっても、作業マニュアルの通りに進めれば作業を遂行できます。このように、誰でも意味を理解して扱えるように言語化された知識が「形式知」です。
一方で、暗黙知の具体例としては「営業の交渉術」や「人事の社内調整のコツ」などが挙げられます。個人の経験や勘などに基づく知識のことを指すため「誰でも理解できる」ものではないことが特徴と言えます。

このような暗黙知を個人が共有して形式知化しなければ、チームメンバーが成長せずに業務効率が上がらない原因にもなってしまうのです。
形式知と実践知の違い
形式知と実践知の違いは、「意味の範囲の広さ」にあります。
実践知とは、経験を踏まえて身につく実践に活かせる知識のことです。実践知があれば、現場で正しい判断をすることが可能になります。
実践知は、言語化の有無が定義されていません。実践知のなかに形式知・暗黙知が含まれるので、形式知・暗黙知よりも実践知のほうが意味の範囲が広いと言えるのです。

企業に形式知が必要な3つの理由
ここでは、企業に形式知が必要な3つの理由について解説します。以下の内容を正しく理解していれば、形式知化を全社的に普及させる際の材料として役立ちます。
時間的コストを削減できる
形式知を蓄積し時間や場所を問わずアクセスできる状態をつくれば、業務における時間的コストを削減できます。
たとえば、形式知を蓄積しておくと、業務内容や手順でわからないことを担当者に尋ねるプロセスが省略され「新人が知識を教えてもらう時間」と「ベテランが知識を伝える時間」双方のコストを削減可能になるのです。
また、ノウハウなどの暗黙知を会得するには長い年月がかかるうえ、形式知が蓄積されていない状態での社内教育は学べる内容も薄く、費用対効果が小さくなってしまいます。
しかし、形式知を活用できれば知識の反復的利用・改善が可能なので、教育期間の短縮や業務のクオリティ向上が見込めます。
ノウハウやスキルの属人化を防止する
ノウハウやスキルの属人化を防止することも、形式知が必要な理由です。
暗黙知が形式知化されないことで発生する課題のひとつに「ノウハウやスキルの属人化」があります。ノウハウやスキルの属人化は、業務担当者の休暇・異動・退職時に業務の遅れや対応ミスを引き起こす原因になります。
したがって、ノウハウやスキルを形式知化して社内で共有すれば、多くのリスクを回避できるのです。また、作業の標準化が実現するため、品質の均一化や業務効率化のメリットもあります。
ナレッジマネジメントが可能になる
形式知化が浸透すると、蓄積・共有されたナレッジが社員に有効活用される「ナレッジマネジメント」も可能になります。
とくに、ナレッジを形式知化したすると、社員の業務時間の短縮が期待できます。さらに、チーム内の形式知が増えると、日常業務やプロジェクト、経営方針などに伴う意思決定の判断材料が充実します。
このように、形式知化を進めれば、ナレッジが個人の中に留められていた状態に比べて業務がスムーズに進行するのです。
暗黙知を形式知に変える4つのステップ
ここでは、暗黙知を形式知に変換するためのステップをご紹介します。以下の手順に沿って進めると、暗黙知の形式知化はもちろん、その後の活用も促進されます。
(1)SECIモデルを活用する
チームの暗黙知を形式知に変換するため、SECI(セキ)モデルを活用する方法があります。
SECIモデルとは、暗黙知から形式知への変換プロセスを4つの段階にモデリングしたもので、個人が蓄積したノウハウやナレッジなどを組織的に管理して活用することを目的としています。
SECIモデルは以下の4つのプロセスで成立します。
- 共同化(Socialization)
- 表出化(Externalization)
- 連結化(Combination)
- 内面化(Internalization)
共同化は、同じ経験を通して暗黙知の相互理解を深める段階です。言語ではなく身体や五感を使うことで、「勘」「信念」「共感」といった個人レベルでの暗黙知同士の共有ができます。
表出化は、共有された暗黙知を形式知に近づける段階です。具体的には、暗黙知を文章や図式、比喩など、他者に伝える形式に変換する必要があります。表出化された暗黙知は、客観的で論理的な知識として認識できるようになります。
連結化は、形式知同士を組み合わせて新しい知識体系を形成する段階です。形式知を関連づけて整理できれば、体系的で総合的な知識を獲得できます。つまり、連結化は、形式知を個人単位ではなく組織財産として活用可能にする方法です。
内面化は、新しい形式知が知識として蓄積・体得されていく段階です。内面化された形式知は様々な経験を通して、ノウハウやナレッジなどの新たな暗黙知を生み出します。そして、再び「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」のプロセスを繰り返すことで、チームの知識財産が蓄積されます。
このようなSECIモデルに沿って形式知化を進めると、個人の内部のナレッジやノウハウが共有されやすくなります。
(2)場をデザインする
SECIモデルでご紹介した暗黙知を形式知に変換する4プロセス「共同化」「表出化」「連結化」「内面化」を加速させるためには、「場」をデザインする必要があります。
「場」とは、チームで形式知や暗黙知が新たに創出されて、全体で共有と活用が推進される環境を指します。形式知を組織財産として蓄積するためには、場を整備して社員が無意識に以下4つのプロセスを踏む必要があります。
- 共同化の場
- 表出化の場
- 連結化の場
- 内面化の場
休憩室や喫煙所での雑談、社内SNSなど、オープンなコミュニケーションができる環境では、気軽に経験や想いを共有できます。
雑談やディベートとは異なり、プロジェクトチーム内でのディスカッションや建設的対話など、共通のミッションを軸とした共創環境が必要です。
情報共有ツールやイントラネットなど、形式知を共有・整理・蓄積できるICT(情報通信技術)の導入が有効です。また、蓄積さた形式知を相互に移転、編集、検索する機能があれば、さらに活発的に連結化が行われる可能性があります。
内面化の目的である「新しい形式知獲得の先にあるさらなる暗黙知の創出」が重要です。企業内大学のような制度的な場やプレゼンテーションルームのような物理的な場のように、形式知を実践的に活用できる環境を整えましょう。
以上のように、SECIモデルによって形式知化の「プロセス」を踏み、場のデザインによって「環境」を整えることが重要です。
(3)知識財産を継承する
形式知となった知識やスキルはメンバーへと継承されなければなりません。
一時的な取り組みで終わらせないためにも、ノウハウを個人単位で完結させるのではなく、会社全体で活かす環境を整えましょう。たとえば、以下のような環境構築方法があります。
- 情報共有に関する評価制度を整備する
- 知識を継承できる仕組みを設定する
- ITツールで組織情報を蓄積して一括管理する
一方、ITツールを導入する場合、チャット機能が中心のツールでは情報が流れてしまい振り返るのが困難です。そのため、「ナレカン」のように簡単に情報を探し出せるナレッジ管理専用ツールの利用が最適です。
(4)リーダーを中心にナレッジの共有を促す
知識を重要視する企業文化を創造・浸透させるには、担当者が強いリーダーシップを発揮してナレッジ共有を促す必要があります。
これまでナレッジ共有の習慣がない企業では「暗黙知を形式知化しましょう」と伝えても、社員が行動するとは限りません。したがって、ナレッジ共有を社内で先導する旗振り役が必要なのです。
旗振り役が実際に形式知をまとめ、ほかの社員に共有を依頼し社内に伝えることで、形式知の共有が当たり前の環境であると徐々に社内で認識させましょう。
【必見】形式知の共有に役立つおすすめのツール
以下では、社内で形式知を共有するのに最適なツールをご紹介します。
社内のナレッジマネジメントを活発化するには、形式知を共有しやすい環境を整える必要があります。そこで、「ナレッジ管理専用ツール」を導入すると、ナレッジを集約する場所が決まるので情報が散らばりません。
また、ナレッジ管理専用ツールを選ぶなら、「高性能な検索機能」も重視しましょう。入社間もない新人でも知りたい情報を調べられるようにするには、ITスキルに関係なく共有された形式知を絞り込めるようにしなければなりません。
結論、形式知の共有に役立つツールは、誰でも簡単にノウハウの共有・確認ができるナレッジ管理ツール「ナレカン」一択です。
ナレカンの「記事」にはテキストはもちろん、画像やファイルも簡単に載せられるので、気軽にノウハウを形式知化できます。また、記事は多階層の「フォルダ」でカテゴリーごとに分類しながら蓄積できるうえ、質問するように使える「自然言語検索」があるので、新人でも知りたい情報をすぐに探し出せます。
社内のナレッジマネジメントに最適なツール「ナレカン」

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暗黙知を形式知化する際の注意点
ここでは、暗黙知を形式知化する際の注意点を2点ご紹介します。以下の内容を踏まえた情報共有でなければ、形式知化した知識の活用が上手く進まなくなる可能性があるので注意です。
分かりにくい情報は画像や動画を使う
文章のみでは共有しづらい形式知は、画像や動画を用いて解説しましょう。
テキストとして形式知を共有する方法のほかに、画像や動画によって視覚や聴覚から知識を引き継ぐ方法があります。これにより、暗黙知の中にある「文書や図表では表現できない微妙なニュアンス」が表現できるのです。
たとえば、テキスト情報だけでプレゼンテーションの仕方をマニュアル化するのは困難です。しかし、音声や動画を活用すれば、「話し方」「抑揚の付け方」「間の取り方」のようなコツを形式知化して正確に伝達できるのです。
形式知化された情報を周知する
形式知化された情報は、社内で周知することも重要です。
ナレッジやノウハウをまとめても、共有された情報を誰も見なければ、社員が形式知化するモチベーションが下がってしまいます。まとめた内容を周知し、ほかの社員の見落としを防ぎましょう。
また、暗黙知を形式知化した社員に感謝の気持ちを伝えて賞賛することで、形式知共有の習慣化も期待できます。たとえば、ナレッジにコメントを紐づけられる「ナレカン」のようなツールを使えば、社内共有も円滑に進みます。
形式知の概要や暗黙知を形式知に変える方法まとめ
ここまで、形式知の概要や暗黙知を形式知にする方法や注意点をご紹介しました。
「SECIモデルを活用する」「場をデザインする」「知識財産を継承する」「ナレッジ共有を促す」の4つのステップを踏むことで、暗黙知を形式知に変換できます。
一方、形式知化された知識は実際の業務で活用されなければなりません。そのため、ITツールを使って社内の知識を蓄積し、時間を問わず誰もが情報へアクセスできる環境を整えることが求められます。
ただし、現場が使いこなせない複雑なツールでは形式知の蓄積すらされないので、直感的に使えるツールを選びましょう。結論、ノウハウをはじめとした社内情報を確実に蓄積し、すぐに必要な情報へアクセスできるツール「ナレカン」が必要です。
ぜひ「ナレカン」を導入し、円滑なナレッジマネジメントの実現に役立てましょう。