仕事をするなかで、自身の権限では判断できず、上司などの承認を得るために「稟議」(りんぎ)が必要になることがしばしばあります。そこで、稟議の一環として具体的な内容を記した稟議書を作成しなければなりません。

一方で、「そもそも稟議書の書き方がわからない」「提出しても差し戻しになることが多い」と悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、稟議書の基本的な書き方や概要、フォーマットを中心にご紹介します。

上記に当てはまる方はこの記事を参考にすると、稟議書の書き方だけでなく、作成後の承認・決裁を円滑に実施する方法までわかります。

稟議書とは

まず、稟議書の概要についてご説明します。稟議書を作成する前に、役割や詳しい意味を押さえておきたい方は以下を参考にしましょう。

稟議書の役割

稟議書は、自身の権限を超える決定について、関係者や上司の承認を得るための書類です。

稟議の対象となるのは、担当者個人では判断できないものの、上層部を集めて会議を開くほどではない案件が一般的です。そのため、話し合いの機会があまり設けられず、口頭の伝達だけでは稟議内容に対する認識の相違が発生しやすくなります。

そこで、稟議の目的や内容を書面にまとめることで、関係者間の認識のずれを防げます。また、現場で従業員が独断で物事を決めてしまったり、上層部が不必要な会議を実施してしまったりするのを防ぐことにもつながるのです。

<番外編>稟議書の承認に至るまでの流れとは?

稟議書が承認に至るまでの流れは以下の通りです。

稟議書が承認に至るまでの流れイメージ図

「稟議書」と「決裁書」の違い

稟議書と決裁書の呼称や運用方法は企業の社内規程によって異なりますが、大きな違いは「承認に関わる人数」と「起案の目的」にあります。具体的な違いは以下の通りです。

項目 稟議書 決裁書
承認者の人数 複数人(上司、関係部署、役員など) 1人(最終権限者)
おもな目的 組織内での事前の合意形成・すり合わせ 最終的な実行判断・決定
適用される事柄 影響範囲が広い提案、費用が発生する案件 権限内で即決できる案件、確定事項の承認

会社に大きな影響を与える案件ほど、ミスを防ぐために決裁書ではなく稟議書を作成し、複数人で確認するプロセスが重要なことがわかります。

【例文つき】稟議書の基本的な書き方

ここでは、稟議書を書くための方法2つをご紹介します。稟議書の作成方法のほかにも必要な項目や例文を知りたい方は必見です。

方法1|記入すべき必要項目を記載して自作する

稟議書の基本的な作成方法の1つ目として、記入すべき必要項目を記載して自作することが挙げられます。

以下は実際に稟議書を作成した例です。例文は、新しい業務用ソフトウェアの導入に関する稟議書を想定しています。

稟議書を作成したサンプル

上記の例のように、稟議書には一般的に以下のような項目を記載します。

  1. 件名・タイトル
    稟議の内容が一目でわかるような簡潔なタイトルをつけましょう。
  2. 起案者・起案日・決裁日
    いつ誰が起案し、いつ決裁されたのかを明確に記載しましょう。
  3. 稟議の目的
    稟議を通すことで得られる効果やメリットを端的に記しましょう。
  4. 稟議の理由
    目的を達成するために、なぜその案が必要なのかといった起案に至る経緯や背景を含めると説得力が増します。
  5. 金額
    金額は正確に記入します。予算編成済みであることを明記すると稟議は通りやすくなります。
  6. 承認者欄
    承認者の役職や氏名が書ける欄を用意しましょう。
  7. 締めの言葉
    締めの言葉は稟議書の形式によって入れる場所が変化することがあります。

上記の記載項目を漏れなく記入すれば、稟議書を自作することが可能です。

方法2|テンプレートを利用する

稟議書の基本的な作成方法の2つ目は、テンプレートを利用することです。

テンプレートを活用すると、どの項目を記入すべきなのかを考える手間が省け、稟議書の作成時間を短縮できます。また、稟議書に必要な項目の記入漏れが生じるリスクも軽減できます。

そのため、自作に比べると自由度は減ってしまうものの、初めて稟議書を作る方にはテンプレートの利用がおすすめです。

現場でよくある稟議書の差し戻し原因3選

ここでは、現場でよくある稟議書の差し戻し原因3選をご紹介します。「丁寧に稟議書を作成しているのによく差し戻しされる」という方は必見です。

(1)具体的な数字やデータがない

稟議書が差し戻される原因のひとつは、客観的な数字や根拠データが不足していることです。

稟議書に「業務効率が向上する」「コストを削減できる」といった抽象的な内容を記載するだけでは、決裁者は導入効果を判断できません。費用や削減時間、想定される利益などを客観的なデータとともに示す必要があります。

したがって、稟議書には「月10時間の作業時間を削減できる」「年間約20万円のコスト削減が見込める」のように、客観的な数字や根拠となるデータを盛り込み、判断しやすい内容にしましょう。

(2)上司や決裁者のメリットが見えない

決裁者の視点に立ったメリットが提示できていないことも、差し戻しの大きな原因です。

承認者である上層部が求めている稟議書は、会社全体にとって利益がある提案です。そのため、想定されるメリットやデメリット、実現可能性を明確に記載して、組織にとってどのような価値があるかを伝えることを意識しましょう。

たとえば、経営層であれば経済的なメリットに関心を寄せており、現場の管理者であれば業務効率を重視していることが多いです。以上のように、稟議書を作成する前に読み手が“何を重視しているか”を把握しておくことが、承認につながります。

(3)過去の類似事例を確認していない

社内にある過去の類似事例を確認せずに作成してしまうことも、差し戻しを増やす原因です。

過去の稟議書を確認せずに作成すると、必要な記載項目が不足したり、自社のルールに合わない内容になったりする可能性があります。そのため、稟議書を作成する前には、承認済みの類似事例を確認して内容や構成を参考にしましょう。

たとえば、同じ備品購入やシステム導入に関する過去の稟議書を参考にすれば、記載内容や根拠、添付資料を把握できるため、差し戻しを防ぎやすくなります。

<要確認>作成した稟議書を管理するときの注意点

稟議書は承認後も適切に共有・管理できる環境を整えることが重要です。とくに、紙やファイルで管理している場合は、以下のような課題が発生しやすくなります。

  • 最新版がわかりづらい
    紙の稟議書やWord・Excelファイルでは、更新後のファイルが複数作成されやすくなります。その結果、どの稟議書が最新版なのかわからず、誤った内容を確認・共有してしまう恐れがあります。
  • 過去の稟議書や承認履歴を探すのに時間がかかる
    過去の稟議書が部署ごとのフォルダや個人のPCに分散していると、必要な書類をすぐに見つけられません。その結果、承認済みの内容や判断理由を確認するのに時間がかかり、稟議フローをスムーズに進められないのです。

したがって、稟議書は作成後もすぐに確認・共有できるように「稟議書の作成から承認・保管まで一か所で完結できるツール」を導入しましょう。

【Excel/Word】無料で使えるおすすめの稟議書フォーマット

以下では、稟議の目的別に使えるおすすめの稟議書フォーマットを3つご紹介します。フォーマットを活用して稟議書の作成時間を短縮しましょう。

【Excel】伺い書の稟議書テンプレート

伺い書の見本・サンプル

こちらは、実用テンプレート無料ダウンロードが提供する、Excel形式の伺い書の稟議書テンプレートです。

内容の欄が広めに設定されているため、稟議の目的や理由などを十分に記載できるのが特徴です。また、添付書類についての項目もあるため、見積書や図面などの関連書類も盛り込めます。

【Word】備品等の購買稟議で使える雛形

購買稟議書のテンプレート

こちらは、ビズ研が提供する、Word形式の購買稟議書のテンプレートです。

購買の稟議書に必要な「支払先」や「支払日」「支払方法」の項目が一通り揃っています。購買稟議書では、商品の購入理由のところでほかの商品との比較結果や、この商品を選んだ理由を根拠とともに記載すると、稟議の承認を得やすくなります。

【Excel】新規取引先との契約稟議書の見本

新規取引先との契約の稟議書の見本・サンプル

こちらは、実用テンプレート無料ダウンロードが提供する、Excel形式の新規取引先との契約の稟議書の見本・サンプルです。

新規取引を開始するための稟議書には、取引先の情報や契約するメリット、目的の記載が必須です。このテンプレートの項目以外にも取引先に関する情報があれば、適宜項目を追加もできます。

稟議書の書き方やおすすめのフォーマットまとめ

これまで、稟議書の概要や書き方、フォーマットを中心にご紹介しました。

稟議書は判断権限のない従業員が複数の関係者に承認を得るために必要な書類であるため、稟議書を作成したあとに関係者へ回覧しなければなりません。しかし、上司が多忙だとなかなか稟議書が回らなかったり、途中で稟議書を紛失したりする恐れがあります。

そこで「稟議書の作成から承認・保管まで完結し、スムーズに稟議フローを進められるツール」を導入しましょう。また、高精度な検索機能が備わったツールであれば、蓄積された書類の中からすばやく必要な稟議書を探し出すことができるのです。

なかでも、非IT企業の稟議書の共有・管理には、誰でも簡単に使えるうえに、“ヒット率100%”を誇る超高精度な検索機能を備えたツール「ナレカン」が最適です。

無料の導入支援も受けられるので、ぜひ「ナレカン」を使って、稟議書の作成から承認・保管までを一元化しましょう。