業務を改善し生産性向上を目指すことは、業界・職種問わず、すべての企業に求められます。そこで、業務改善し成果を挙げるには、既存の業務における3M(ムリ・ムダ・ムラ)を把握し、適切な対策をとらなければなりません。
 
しかし、「既存の業務内容に潜む3M(ムリ・ムダ・ムラ)を見つけられず、業務改善を実施しても途中で頓挫してしまう」と悩む担当者の方も多いのではないのでしょうか。
 
そこで今回は、3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくし、業務改善を達成する方法を中心にご紹介します。
 
という担当者の方が本記事を参考にすると、業務に潜む3Mを発見し適切なアプローチを実践しながら、業務改善を達成できるようになります。


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仕事における3M(ムリ・ムダ・ムラ)とは

業務改善を達成するうえで前提となる3M(ムリ・ムダ・ムラ)とは以下の通りです。
 
  • 仕事におけるムリ
  • 長時間残業しないと終わらない作業量を課したり、製造スピードを超過した製造量を求めたりするなど、業務の担当者や設備に能力以上の成果を求めている状態
     
  • 仕事におけるムダ
  • 必要以上に製造して在庫を抱えたり、十分に情報を共有できておらずプロジェクトを進めてからやり直しが発生したりするなど、余計な費用や作業が生じている状態
     
  • 仕事におけるムラ
  • マニュアルが整備されていなかったり、業務にムリやムダがあるために必要な品質が保てなかったりするなど、担当者によって作業や成果のクオリティに差がある状態
これらが3Mと呼ばれる業務の円滑な遂行を妨げる原因であり「業務内容」と「(業務に従事するメンバーの)能力」のバランスが崩れることによって発生します。したがって、業務負荷と能力の均衡を維持させるためにも、業務改善が必要なのです。


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3M(ムリ・ムダ・ムラ)を解消するメリットとは

ここでは、3M(ムリ・ムダ・ムラ)を解消すると得られるメリットを3点紹介します。業務を改善して営業活動を効率的に進めている企業は、実践できていない企業と比較して、以下のメリットを常に得ながら業務を進めているのです。

モチベーション向上につながる

3Mがなくなると、業務に関わるメンバーのモチベーション向上に貢献します。
 
なぜなら、3Mに関わるストレスが解消され、タスク管理もしやすくなり、ムダな残業や仕事をしなくても良くなるからです。業務の「時間」と「負荷」が同時に削減されれば、メンバーが限られた時間内で仕事を完了できるようになります。
 
結果として、仕事へのモチベーションの向上はもちろん、定着率も向上させられるので、企業とメンバー双方にとってメリットがあるのです。

コスト削減ができる

3Mをなくせば、業務に関わるさまざまなコストを削減できます。とくに、削減できるコストは以下の通りです。
 
  • 金銭的コスト
  • ムリな作業量で社員が残業することによる人件費、ムダに作りすぎることによる製造費や在庫管理費、品質のムラによる作業のやり直しにかかる費用などがなくなるので、経費が削減できます。
     
  • 時間的コスト
  • 業務のムリやムダがなくなると、一人あたりの業務量が軽減され、各メンバーの業務時間が平準化されるようになります。
     
  • 教育コスト
  • マニュアルをはじめとした「何度も振り返る情報」をまとめて管理すると、一から教育するムダや、メンバーによって業務クオリティが異なるムラを解消できます。
以上のように、企業だけでなくメンバーにも良い影響があることを、正しく社内へ浸透させておかなければなりません。

能力に対する業務負荷が適切となる

業務負荷と能力が均衡しているイメージ画像
業務における3Mを削減すると、メンバーの能力に対して正しい業務負荷のタスクを割り振れます。
 
上記画像のように、業務負荷とメンバーの能力が均衡している状態が適切な労働環境です。しかし、どちらかの比重が重くなると3Mが発生してしまうのです。
 
たとえば、一人でもできる簡単なタスクに十人で取り掛かると暇な人が出てきてしまって労働力のムダが発生します。一方で、十人で取り掛かっても終わらない重いタスクを一人に割り振ると、ムリが発生して業務が円滑に進みません。
 
そこで、3Mをなくして業務負荷と能力を考慮して仕事を割り振れば、快適な労働環境の構築につながり、会社への定着率上昇も期待できます。


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3M(ムリ・ムダ・ムラ)が発生する3つの原因

業務の3Mには3つの発生原因が考えられます。全体を俯瞰して探すのではなく、自社業務における以下3つのポイントから3Mを探すと、効率的に業務改善を進められます。

(1)リソースが不足している

1つ目の原因に、業務内容のなかでもリソース(ヒト・モノ・カネ・情報)が不足していると、3Mの1つである「ムリ」が潜みやすいと言えます。
 
業務に見合った適切なリソースがない状態では、高い目標を掲げても達成できません。しかし、限られたリソースで何とか業務を遂行しようとムリをさせれば、社員は疲弊してしまいます。
 
また、達成できない目標は予算や人材をムダに浪費させ、余裕のない業務は作業や成果のクオリティにムラを生んでしまいます。以上のように「ムリ」は「ムダ」や「ムラ」に直結するので、放置しすぎないようにしましょう

(2)慣習化している

2つ目の原因として、業務の実施自体が目的となった慣習化している業務には、3Mの「ムダ」が多く潜んでいます。
 
たとえば、開催自体が目的になっている会議や必要以上の承認フローなどに、ムダが発生していると言えます。そのため、結論が出ずに時間だけ浪費する会議を廃止したり、ワークフローを見直して煩雑な承認フローを整理したりする対策が効果的です。
 
このように、日々の業務内容で「手段が目的化している作業」が存在しているのであれば、すぐに見直すべきと言えます。

(3)属人化している

3Mが潜みやすい原因の3つ目に、とくに「ムラ」が潜みがちな属人化が挙げられます。
 
属人化とは、ある業務の担当者が固定化され、知識やノウハウが特定の社員に集中している状態を指します。業務が属人化しているとノウハウが共有されず、担当者が休むと業務に遅れが生じたり、引き継ぎの際に教育コストがかかったりするため非効率です。
 
また、特定の社員に負担が集中してムリが生じてしまいがちです。そのため、特定の社員しかできない業務がある場合は、マニュアルを作成して普段から情報を共有することが大切です。
 
とくに、「ナレカン」のようなITツールでマニュアルをまとめると更新・共有がしやすく、紙で管理するよりも便利です。


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3M(ムリ・ムダ・ムラ)をなくす業務改善の基本手順

業務改善を達成するには、業務停滞の原因になる3Mとの向き合い方が肝になります。以下では、3Mを取り除く、効率の良い業務改善の3つの手順を解説します。

(1)現状の業務を可視化

まずは、3Mを発見するために業務内容の可視化を行います。
 
業務を可視化すると、現在の業務フローが一目でわかるので作業のムダに気づきやすくなります。業務の可視化には、自社のリソースを「4M」と呼ばれる要素に分解するのがおすすめです。
 
  • Man:実際に現場で稼働するメンバー
  • Machine:自社の設備や機械
  • Method:特定の業務を進める方法
  • Material:仕入れる原材料や部品
各項目の抽出後、関連する業務をそれぞれ書き出します。このように、属人化・リソース不足・慣習化を招いている業務は、可視化による「要素分解」で非効率な原因・課題が浮き彫りにできます。

(2)M(ムリ・ムダ・ムラ)の抽出

次に業務の可視化によって、課題を正確に把握し3Mを抽出します。3Mごとにアプローチ方法が異なるので、以下のように3Mを抽出する必要があります。
 
  • ムリの抽出
  • 業務フローにムリがある部分がないかを確認します。業務を可視化したことで「タスク量全体に対する人的リソースが少なく、稼働率が100%を大幅に超えており、若手社員にのみ業務負荷が偏っている」といった問題点が明らかになります。
     
  • ムダの抽出
  • 同じ動作のやり直しや手直しなど、本来必要のないムダな時間がどれほどあったかを振り返ります。具体例としては、Excelのデータ編集で関数を使えば良い箇所を手計算していることによる動作のムダが挙げられます。
     
  • ムラの抽出
  • ムラが生じやすい教育体制になっていないか、見直すことも大切です。たとえば、「見て覚える」非効率な指導や、大雑把にしか書かれていないマニュアルでは、同じ業務でも質が担保できず、作り直しや不良品の廃棄などムダな工程が発生します。
また、抽出した内容について、どれだけのムリ・ムダ・ムラが発生しているのか、数値を用いて定量的に判断すると、さらに解像度が高くなるのでおすすめです。

(3)具体案を作成し共有・実施する

さいごに、3Mの抽出後は課題解決への具体案を作成し、社員に共有しましょう。
 
具体的な改善案として、誰でも同じクオリティで作業できるマニュアルの作成で担当者によるムラをなくしましょう。ほかにも、教育コストや作り直しのムダを削減することや、業務の優先順位を決めて業務量を減らしてムリを解消することなどが挙げられます。
 
ただし、業務改善を実施するのに紙やExcelで情報を共有すると、資料やファイルを探すムダな時間が発生してしまいます。したがって、情報へのアクセス性に優れた「ナレカン」のようなITツールを使いましょう。
 
また、具体案の施行後は業務改善の結果を振り返って、業務のムリ・ムダ・ムラの削減に成功したか評価することが大切です。施策途中・完了後に新たな問題点が出た場合は、再び解決のための施策を実行する「PDCAサイクル」を回すことを意識しましょう。


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仕事の3M(ムリ・ムダ・ムラ)を排除し業務改善に役立つツール

以下では、3Mを取り除く業務改善に貢献するおすすめのツールを紹介します。
 
業務内容がきちんと共有されておらず、リソースの適切な分配ができていないとムリ・ムダが発生し、業務が属人化したり業務クオリティにムラが生じたりします。そのため、「社内で業務の進め方や使えるリソースを共有する仕組みづくり」が必要です。
 
つまり、「社内で共有すべき情報を全て一元化できるITツール」の導入が3Mを解消する最適なアプローチになるのです。ただし、特に大企業では部署や社員数が多く、管理すべき情報が膨大になるため、アクセス性が高いことが大前提です。
 
したがって、いち早く3Mを排除して業務改善を達成するには、必要な情報に即アクセスできるツール「ナレカン」が最適です。
 
ナレカンの「記事」で作成した業務マニュアルは、リアルタイムで共有できるうえ、多階層の「フォルダ」で整理すれば、煩雑化せずに情報が集約されます。また、ChatGPTのような「自然言語検索」を含む超高度な検索機能で、情報を振り返るのにも優れています。

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【製造業必見】ムリムラムダを解消するの順番とは

製造業で「ムリ・ムラ・ムダ」を排除するためには、以下のような明確な順番があります。
 
  1. ムダの排除
  2. ムダがあると、人や時間、資源などのリソースの不足につながり、会社の財政を悪化させる恐れがあるため、一番最初になくさなくてはなりません。
     
  3. ムラの排除
  4. ムラがあると、作業品質にばらつきが生じ、効果的な生産計画を立てることが難しくなるためムダの次に排除しましょう。
     
  5. ムリの排除
  6. ムリがあると、従業員の疲労やストレスが蓄積していき、品質の悪化を招きかねないため、最後にムリがないかの確認を怠らないことが大切です。
このように「ムダ→ムラ→ムリ」の順番で解消するように取り組むと、効率的に業務改善することができます。


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【代表例】3M削減に成功したトヨタの生産方式

実際にトヨタは、以下のようにムダ・ムラ・ムリを定義し、生産方式を大幅に改善することに成功しました。今後、業務改善を成功させたい方は必見です。
 

生産過程における7つのムダ

トヨタでは以下の7つのムダが生産方式において重要視されています。
 
ムダの種類 定義
加工のムダ
製品に付加価値をもたらさないのにリソースを消費すること
在庫のムダ
不要な在庫や備品を過剰に蓄えること
作りすぎのムダ
必要以上に多くの製品や部品を生産すること
手持ちのムダ
他の部品の製造ラインが遅れるなどしてやることがない時間が生じること
動作の無駄
作業者による付加価値を生まない不要な動作のこと
運搬のムダ
付加価値を生まない製品や部品、情報などの流れのこと
不良・手直しのムダ
不良品や手直しが必要な商品に対して追加で生産や修理をすること
以上のように、ムダを細分化して定義することで、より徹底的にアプローチすることが可能になります。トヨタの製造業の現場では、7つのムダの現状と原因を押さえ、改善策を継続的に実行することでムダの排除に努めています。

ムラの考え方

トヨタでは、品質におけるムラを防ぐために「標準」という考え方を採用しています。標準とは各作業のやり方や条件のことであり、これに基づいて従業員は作業を行います。
 
トヨタのような大企業における大量生産では、多くの人が作業に携わってもクオリティに差が生じない仕組みづくりが必要なためです。例えば、ボルトは「カチッと音が鳴るまでしめる」と規定されれば、誰もが同じ強さでボルトをしめることができます。
 
このように、トヨタは誰が行っても同じことができるように明確な標準を定めることを実施しています。

ムリの立ち位置

ムリはムダやムラを引き起こす要因の一つとされています。ムリがあると、業務のムラを引き起こしたり、不良・手直しのムダを生じさせると考えられるからです。
 
例えば、長時間労働を従業員に強いることで、パフォーマンスが低下し作業品質にばらつきが出てしまったり、ミスによるやり直しが増える可能性があります。
 
このように、ムリを放置していると再びムダやムラが生まれてしまう恐れがあるのです。


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3M(ムリ・ムダ・ムラ)を見極め業務改善を行う方法まとめ

これまで、3Mを省きながら業務改善を達成する方法について解説しました。
 
3Mを放置し続けると、業務効率が向上せず属人化の進行や業務の固定化など、さらに3Mの問題が増える事態を招いてしまいます。そのため、業務改善を実施して3Mを排除することは急務の課題といえるのです。
 
しかし、3Mを要素分解して把握できておらず、施策も不適切であれば、社員の反発やかえって業務が非効率になります。そこで、ITツールを活用して、マニュアルやノウハウをデジタルで管理することで3Mを解消しましょう。
 
したがって、業務改善を目指す非IT企業には、情報管理の側面から、最も簡単に3Mを解消できる「ナレカン」が必須です。
 
ぜひ「ナレカン」を導入して、ムリ・ムダ・ムラのない職場環境を構築しましょう。


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代表取締役社長 澤村大輔
この記事の監修者
株式会社Stock
代表取締役社長 澤村大輔

1986年生まれ。早稲田大学法学部卒。
新卒で、野村総合研究所(NRI)に、経営コンサルタントとして入社。
その後、株式会社リンクライブ(現:株式会社Stock)を設立。代表取締役に就任。
2018年、「世界中の『非IT企業』から、情報共有のストレスを取り除く」ことをミッションに、チームの情報を最も簡単に管理できるツール「Stock」を正式ローンチ。
2020年、ベンチャーキャピタル(VC)から、総額1億円の資金調達を実施。
2021年、東洋経済「すごいベンチャー100」に選出。