大事には至らなくとも、大きなトラブルに発展しかねなかった状況を「ヒヤリハット」と呼びます。1件の重大な事故の背後には300件の異常(ヒヤリハット)が存在するといわれているため、多くの現場でヒヤリハットを積極的に共有しています。
しかし、実際には「ヒヤリハットの報告は集めているものの、情報共有がうまくいかず同じようなミスや事故が繰り返される」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ヒヤリハットの情報共有がうまくいかない原因と、現場に定着させるための運用方法を中心にご紹介します。
- 同じミスや事故が繰り返され、ヒヤリハットの報告に課題を感じる現場責任者
- ヒヤリハットの過去事例を探せず再発防止に活かせていない安全管理担当者
- ヒヤリハットが集まらない・共有されない・活用されないことに悩む管理職
上記に当てはまる方はこの記事を参考にすると、ヒヤリハットを「報告すること」が目的ではなく、誰でも検索・活用できる形で情報共有する仕組みが必要だと理解できるだけでなく、現場で再発防止につながる運用方法が分かります。
目次
ヒヤリハットの目的と「意味がない」と言われる原因
はじめに、ヒヤリハットの目的と「意味がない」と言われる原因を解説します。まずはヒヤリハットの基礎知識を確認しましょう。
ヒヤリハットを共有する目的
ヒヤリハットを共有する目的は、重大な事故を未然に防ぎ、同じミスを繰り返さず、安全意識を組織全体へ浸透させることです。
ヒヤリハットとは、幸いケガや事故にはならなかったものの、「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりした出来事のことです。これを一人だけの経験のままにせず、職場のメンバー全員に伝えることで、「どこに危険が潜んでいるのか」「同様の状況でどのような対策を取るべきか」を、みんなが前もって知ることができます。
たとえば、製造現場で「通路に資材が置かれていてつまずきそうになった」というヒヤリハットが報告されたとします。これを共有し、「資材は決められた場所にしか置かない」というルールを作れば、同じ場所で誰かが転んでケガをする事故を防げます。
つまり、ヒヤリハットは「報告して終わり」にするのではなく、職場全体でその情報を共有し、ルール作りや注意喚起に活かしていくことが大切です。そうすることで、事故が繰り返し起こるのを防ぎ、職場全体の安全性を高められるのです。
ヒヤリハット報告は「意味がない」と言われる理由
ヒヤリハット報告は「意味がない」と言われる理由の1つに、「軽微な出来事だから」と個人が見過ごしてしまい、社内で共有されないことが挙げられます。

引用:労働基準監督署|ヒヤリハット事例・想定ヒヤリ 報告制度の導入について
「ハインリッヒの法則」(1:29:300の法則)という考え方があります。これは、1件の重大な事故の裏には、29件の軽い事故と、300件もの「ヒヤリ・ハッとしたけれど事故には至らなかった出来事」が隠れている、という法則です。
つまり、「たいしたことがなかったから」とヒヤリハットを見過ごしてしまうと、重大な事故につながってしまう可能性があるのです。逆に言えば、一つひとつのヒヤリハットにきちんと対策を講じれば、重大な事故の発生を未然に防げるということです。
事故の発生を防ぐには、「ヒヤッとした」「ハッとした」出来事を報告した本人だけのものにせず、社内のメンバー全員で共有することが重要です。
ヒヤリハットの具体例・事例

こちらは、厚労省が公開している「労働災害事例」の一覧であり、ヒヤリハットの事例は多岐にわたることが分かります。業界別のヒヤリハット事例は以下の通りです。
- 製造業でのヒヤリハット
製造業では「フォークリフトが工場内を通過するとき、シャッターの外脇からシャッター前を横切ろうとした作業者と衝突しそうになった」といったヒヤリハットが起こり得ます。とくに、工場では大きな機械が多いため重大な事故の原因になる恐れがあります。 - 建設業でのヒヤリハット
建設業などの現場作業では「高所の作業中に足元の番線につまずき、足場から転落しそうになった」といったヒヤリハットが起こり得ます。転落事故は、本人の怪我だけでなく、上司が管理不行き届きとして管理責任を問われる可能性があります。
いずれも「一歩間違えれば重大な事故につながっていた」という点は共通していますが、ヒヤリハットは業種によって現れ方が異なります。そのため、自社の業種や作業内容に合わせて「どんなヒヤリハットが起こりやすいか」を把握しましょう。
【簡単】誰でも書けるヒヤリハット報告書の書き方

以下では、ヒヤリハット報告書を作成するときの手順をご紹介します。ヒヤリハット報告書は、事故防止のための重要なドキュメントなので、正確かつ詳細に記述しましょう。
STEP1|事実の記録
はじめに、ヒヤリハット報告書を書くときには発生時の状況を具体的に記載します。
ヒヤリハット発生時は発生時は状況が混乱しやすいため、まず状況の整理から始めるべきです。そこで、記載時のポイントとしては、5W1Hを意識して状況を分析・記載することが挙げられます。
具体的には「当事者の情報(Who)」「発生日時(When)」「発生場所(Where)」「内容(What)」「経緯(How)」「要因(Why)」を明らかにしましょう。5W1Hを活用すると、そのときの情報を過不足なく記録することができます。
STEP2|対応の記載
次に、ヒヤリハットに対してどのように対応したのか記載します。
記載時のポイントとしては、客観性を重視することです。報告書は必要な情報を正確に伝える役割を持つため、「〜であると思う」など主観的な表現は避けましょう。
また、誰でもわかる言葉を活用しましょう。必要以上に専門用語を使うと、他部署の社員に内容が正しく伝わらず、同じようなケースを繰り返す恐れがあります。
STEP3|再発防止策の立案
最後に、今後同様の事象が発生しないようにするための具体的な対策を記載します。
再発防止策を検討するときは「抜本的な改善が必要なのか」「業務フローを一部改善すればいいのか」の見極めが重要です。また、実行が難しいあるいは長く続かない対策では効果が見込めないため、再現性のある対策を立てましょう。
また、発生したヒヤリハットからどのような事故が起こる可能性があるのかも記載するべきです。想定される事故まで共有することで、現場全体の危機意識を高められます。
ヒヤリハットの提出率を上げるポイント
ヒヤリハットの提出率を上げるポイントは以下の2点です。
- 報告しやすいルールを整える
「事故にならなかったことでも報告する」「報告者を責めない」といったルールを周知しましょう。ヒヤリハット事例を報告するときの心理的なハードルが下がるため、小さなヒヤリハットも集まりやすくなります。 - 報告書のテンプレートを作成する
「発生日時」「発生場所」「作業内容」「危険を感じた状況」「原因」「今後の対策」といった項目をあらかじめ用意したテンプレートを作成しましょう。空欄を埋めるだけで報告書が完成する形にすれば、報告にかかる時間を大幅に短縮できます。
このように、ヒヤリハットの提出率を上げるには、社員個人の努力に頼るのではなく、報告しやすい仕組みを会社側が用意することが欠かせません。ツールとテンプレートの整備から、ぜひ取り組んでみてください。
ヒヤリハットの共有漏れ・忘れを防ぐ方法
以下では、ヒヤリハットの共有漏れ・忘れを防ぐ方法をご紹介します。
ヒヤリハットの共有漏れや確認忘れを放置すると、過去に発生した事例が現場で活かされず、同じような事故やミスが繰り返される原因になります。実際、蓄積されたヒヤリハット事例のなかから、適切な事例を探し出すのには手間と時間がかかります。
このような問題を防ごうとして紙やExcel、チャットで共有しても、保存場所が分散したり、過去の報告書を探すのに時間がかかったりするため、必要な情報をすぐに活用できません。運用ルールを徹底するだけでは、「報告したら終わり」という状態を防ぐことは難しく、情報共有を継続的に定着させるには限界があります。
そのため、報告書の作成にかかる手間を軽減し、現場からスマホなどで送られた情報を1箇所にまとめ、誰でも一瞬で過去事例を振り返ることができる仕組みが必要です。
この条件に最も当てはまるのが、ヒヤリハットを一元管理し、AI検索で過去事例をすぐに見つけられるナレッジ管理ツール「ナレカン」です。ナレカンなら、写真付きのヒヤリハット報告を現場から簡単に蓄積できるだけでなく、自然な言葉で検索できるAI検索によって、ITに詳しくないメンバーでも迷わず過去の対策を確認できるため、再発防止の運用を無理なく定着させられます。
最も簡単に情報共有・管理ができるツール「ナレカン」
https://www.stock-app.info/narekan/
<ナレカンをおすすめするポイント>
- 【ナレッジが組織に蓄積される】
社内に散在した情報や、個人に属人化したノウハウを一元化。記事・ファイル・メール・チャットなど、あらゆる社内情報を“組織のナレッジ”として蓄積できます。
- 【必要な情報に誰でもたどり着ける】
生成AIを活用した自然言語検索や、高精度なキーワード検索によって、“上司に質問するように”必要な情報を探せます。検索スキルに依存せず、誰でも簡単にナレッジにアクセスできます。
- 【ナレッジ活用が現場に定着する】
シンプルな操作性と、充実した導入・運用サポートによって、ITツールに不慣れな企業でも無理なく活用できます。さらに、情報を継続的に更新・整理できる仕組みにより、“使われ続けるナレッジ基盤”を実現します。
<ナレカンの料金>

- ビジネスプラン:標準的な機能でナレカンを導入したい企業様
- エンタープライズプラン:管理・セキュリティを強化して導入したい企業様
- プレミアムプラン:「AI自然言語検索」も含めて導入したい企業様
各プランの詳細や金額は、下記「ナレカン資料の無料ダウンロード」ボタンより、資料をダウンロードしてご確認ください。
「ナレカン」を使った情報共有事例
【製造業】情報検索にかかる時間を最大90%削減した事例

古河電気工業(株)は、人事労務に関するナレッジやイレギュラー事例を組織全体で共有するために「ナレカン」を活用しています。
同社では、Teamsやメール、共有フォルダなどに情報が散在していたため、問い合わせ対応のたびに必要な情報を探すのに時間がかかっていました。また、各拠点で発生したイレギュラー事例が共有されず、同じような判断を拠点ごとに繰り返していました。
そこで、「DXを活用したナレッジ共有基盤の構築」を目的に「ナレカン」を導入し、人事労務に関する規程や対応事例、イレギュラーケースの判断根拠などを一元管理しました。さらに、AI検索を活用して誰でも必要な情報へすぐアクセスできる環境を整え、拠点間でナレッジを共有できる体制を構築しました。
その結果、情報検索にかかる時間を最大90%削減できただけでなく、「まずはナレカンで調べる」という文化が定着しました。また、各拠点の対応事例を横展開できるようになったことで、組織全体でナレッジを蓄積・活用できるようになっています。
【建設業】部内を越えて知恵を出し合う風土を醸成した事例

三晃金属工業株式会社では、現場の専門知識やノウハウを全社で共有し、繰り返されるミスを防ぐために「ナレカン」を活用しています。
同社では、現場の経験知や暗黙知が個人の頭の中やメール・チャットツールに埋もれ、必要な情報を見つけられないことが課題でした。その結果、過去の対応事例が共有されず、若手社員は「誰に聞けばよいか分からない」という状況に陥っていました。
そこで、複数のナレッジマネジメントツールを比較・検討した結果、情報をストックしながらAI検索や「社内知恵袋」で質問・回答をナレッジ化できる「ナレカン」を導入しました。そして、社内規程や技術資料、営業資料などを一元管理するとともに、「まずはナレカンで検索し、見つからなければ質問する」という運用ルールを定着させました。
その結果、過去の知見や対応方法をすぐに確認できるようになり、若手社員からは「本社へ質問する心理的ハードルが下がった」という声が寄せられています。現場で寄せられる質問も可視化されたため、部門を越えた知見共有につながっています。
【そのまま使える】「ナレカン」を使ったヒヤリハットの共有例文
ここでは、ヒヤリハットを共有するときの例文をご紹介します。ヒヤリハット報告書に記載すべき項目も知りたい方は是非参考にしてください。
ヒヤリハット報告書に記載すべき項目
ヒヤリハット報告書に記載すべき項目は、以下の5つです。
- 当事者の情報(氏名・所属部署)
誰がヒヤリハットを経験・報告したのかを明確にする項目です。必要に応じて事実確認や追加のヒアリングをできるようにします。 - ヒヤリハットが発生した状況(日時・場所・経緯)
いつ・どこで・どのような状況で発生したのかを具体的に記載します。事実を時系列で整理すると、原因を分析しやすくなります。 - ヒヤリハットが発生した原因
なぜヒヤリハットが起きたのかを記載します。人的ミスだけでなく、設備や作業手順、環境などの要因も含めて整理することが重要です。 - 発生時の対応
ヒヤリハット発生後に実施した対応や応急処置を記載します。被害拡大を防ぐためにどのような行動を取ったのかを残しましょう。 - 再発防止策(対策・計画)
同じヒヤリハットを繰り返さないための改善策を記載します。担当者や実施時期まで決めておくと、対策を実行に移しやすくなります。
ヒヤリハット報告書は、これら5つの項目を整理して記載することで、単なる記録に留まらず、事故防止に向けた具体的な改善につなげられます。日頃から報告書の作成・共有を習慣化し、職場全体でヒヤリハットの情報を活用する体制を整えていきましょう。
汎用的なヒヤリハット報告書の例文
汎用的なヒヤリハット報告書の例文は以下の通りです。

以上のように、必要な情報を漏れなく記載する必要がありますが、端的に書くように心がけましょう。また、報告書のフォーマットなどを作成しておくと、作成時間が大幅に短縮できます。
業種別のヒヤリハット報告書の例文
業界別のヒヤリハット報告書の例文は以下です。基本的な記載事項は汎用的な例と同じく、文章が冗長にならないよう意識して作成しましょう。
<医療現場でのヒヤリハット報告書の例>

<建設現場でのヒヤリハット報告書の例>

以上のようにヒヤリハット報告書は、何が起きたかだけでなく、今後の再発防止策を立案することが大切です。重要度や緊急度を考慮して効果的な対策を記載しましょう。
ヒヤリハットを社内で情報共有する方法まとめ
これまで、ヒヤリハットを共有する目的や「意味がない」と言われる原因、ヒヤリハット報告書の書き方を中心にご紹介しました。
ヒヤリハットを活かすには、報告書を作成するだけでなく、現場から集まった情報を一元管理し、過去の事例や対策を誰でもすぐに検索できることが欠かせません。情報を探す手間を減らすことで、同じミスや事故の再発防止につながります。
しかし、紙やExcel、チャットツールでは情報が分散しやすく、必要な事例を探すのに時間がかかるため、ヒヤリハットを十分に活かせないケースも少なくありません。
なかでも、ヒヤリハットの情報共有に最適なのは、ヒヤリハットを一元管理し、AI検索で過去事例をすぐに見つけられる情報共有ツール「ナレカン」です。
無料の導入支援も受けられるので、ぜひ「ナレカン」を使って、ヒヤリハットを確実に共有・活用し、重大事故を未然に防げる職場を実現しましょう。


